有名女優のツイートがきっかけで先の通常国会での可決成立が見送られたなどと報道されている種苗法改正案ですが、これまで自由とされていた農業者の自家増殖(農業者が収穫物の一部を次期作用の種苗として使用すること)による登録品種等の利用に育成者権の効力を及ぼし、育成者権者の許諾を必要とする改正案が継続審議となり、衆議院において閉会中審査の対象とされています。今月26日に招集される臨時国会においても、これまでの経緯を踏まえて、活発な論戦が交わされるものと予想されます。

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 このように話題となっている令和2年種苗法改正案について、
「種苗法改正のもう一つの論点 〜自家増殖論争と特性表による推定から考える食料安全保障の在り方〜」
と題する論考を事務所ウェブサイトにアップしました(思いのほか長文になってしまいましたが)。

 賛否両論の「自家増殖」への許諾制導入の陰に隠れて目立ちませんが、権利侵害の立証方法として登録品種の「特性表」による推定を活用し、現物主義の下で困難な権利行使を強いられていた育成者権の行使をより容易なものに改善しようという趣旨の推定規定(改正種苗法案35条の2)について、施行後に予想される運用状況も踏まえ、おそらくこれまでまだ本格的に言及されていなかった論点について解説しています。

 自家増殖論争をめぐる政府当局・改正賛成派と改正反対派、双方の情報発信の問題点についても言及しました。
 併せて、食料安全保障という公共の利益のための裁定実施権制度の活用の可能性についても触れています。

 御一読いただければ幸いです。