弁護士・弁理士 大西達夫のブログ

弁護士(元裁判官・訟務検事)・弁理士大西達夫(MLIP経営法律事務所所長 https://mlip-law.com/profo.html)のブログです。知的財産法・行政法・医事法の分野を中心に、話題となっている法改正や裁判等のニュース解説、ビジネスや日常生活と法律との関わりなどを説明していきます。

 ここ数年来、生命科学分野ではCRISPR/Cas9などのDNA切断酵素を利用した革新的なゲノム編集技術の開発が話題となっており、このような最新の遺伝子改変技術を使って加工した細胞を利用する再生医療の提供も期待されるところです。その一方で、遺伝子操作を用いる再生医療については、安全性の観点から一定の規制を及ぼす必要があります。
 そこで、最も規制の厳しい第一種再生医療等技術のリスク分類に、上記の遺伝子改変技術を用いた再生医療も取り込むための再生医療等安全性確保法施行規則の改正が行われました(令和2年厚生労働省令第 131 号。以下「改正省令」)。
 改正省令は,本年6月 26 日に公布され,同日付けで施行されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000644286.pdf

 事務所ウェブサイトに改正省令の解説記事を掲載しました。2014年11月の再生医療等安全性確保法施行後5年を目途とした再生医療に対する法規制の見直し、今後予想される遺伝子治療に対する新たな法規制導入の動向についても解説しています。
 再生医療法務に御関心のある方はぜひ御一読ください。

 久々の行政法関係の記事ですが,ふるさと納税訴訟最高裁判決(最高裁令和2年(行ヒ)第68号不指定取消請求事件・同令和2年6月30日第三小法廷判決)に関する判例解説を事務所ウェブサイトに掲載しました。
 ふるさと納税地方団体の指定制度の導入に当たり,同指定制度導入前にふるさと納税制度の趣旨に反する方法により他の地方団体に多大な影響を及ぼす寄附金募集を行い,他の地方団体より著しく多額の寄附金を受領した団体でないことを募集適正実施基準として定めた総務大臣告示(平成31年総務省告示第179号)は,委任規定である地方税法37条の2第2項等の委任の範囲を逸脱した違法な委任命令として無効であると判断され,泉佐野市をふるさと納税地方団体として指定しないとした総務大臣の不指定処分が適法であるとした原判決が破棄され,同不指定処分が取り消されました。
 委任命令の適法性を判断するに当たり,法律による授権の趣旨等を考慮して授権規定の明確性を要求する近時の最高裁判例の判断枠組み(最二小判平25.1.11民集67-1-1・医薬品のインターネット販売等を一律に禁止する旧薬事法施行規則を法律の委任の範囲を逸脱した違法な委任命令として無効と判断した判例)に則った判断といえます。
 委任命令の立案の職務を遂行する行政庁担当者の基本的姿勢としては,行政裁量論に過度に依存することも,反対に形式的法治主義にいたずらに拘泥することもなく,事後的な司法判断により当該委任命令が委任の範囲を逸脱した違法無効なものとされるリスクを合理的に予測し,可能な限りこれを予防することが求められます。そのためには,法律による委任規定の趣旨,立法過程の議論,委任命令により制限される権利利益の性質等を十分に考慮し,授権法制定当時の立法者(授権者)の意思を精査する姿勢こそ重要であることが,本判決でより一層明確になったといえるでしょう。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としての再生医療等安全性確保法施行規則,臨床研究法施行規則等の省令改正が行われ,(1)認定再生医療等委員会における審査等業務の書面審査の拡大,(2)説明同意文書のe-文書化といった措置がとられました((1)は本年4月30日,(2)は本年5月15日に公布日即施行)。省令改正の解説記事を事務所ウェブサイトに掲載しました。
新型コロナウイルス感染症の治療に幹細胞治療その他再生医療の知見を活用しようとする取り組みも始まっていますが,やはり再生医療等安全性確保法その他の関係法令の趣旨に立ち返って,(有効性を含む)科学的妥当性及び安全性が確保された科学的根拠に基づく医療(EBM)としての再生医療の研究開発と臨床実践の普及が望まれるところです。

というタイトルの拙稿を、医療従事者向け会員制サイトのm3.comの法律記事連載シリーズ「弁護士が解説!『医療×法律』の基礎」に掲載していただきました。
https://www.m3.com/news/iryoishin/700628
サブタイトル「過度の心配は不要だが、有害事象の発生等には適切な対応を」で端的にメッセージを込めたつもりですが、様々な立場から倫理審査委員会を構成する委員の皆様が、委員会で本来時間を使って検討すべきプロトコル(治験計画、研究計画、再生医療等提供計画等)の中身の議論以外の心配事で煩わされないように、との問題意識から論じています。

とのタイトルの拙稿が年報医事法学第34号に掲載されました。昨年(平成30年)11月の第48回医事法学会研究大会での個別報告を基にした論稿となります。
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8105.html
インバウンド時代を迎え医療の国際化が求められる中で、本稿では特に外国人患者/受診者と国内医療機関との間を取り持つ医療コンシェルジュ/医療コーディネーター等の中間事業者の実態を把握した上での適切な規制の在り方を検討する必要性を述べています。併せて、つい先頃報道で社会の関心を集め、健康保険法の改正にもつながった外国人による健康保険の不適切利用の問題を取り上げ、中間事業者を通じた情報収集による実態把握の重要性に言及しています。

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